この度、一般社団法人予防衛生協会の代表理事を、前任者の吉川泰弘先生より引き継ぐこととなりました。吉川先生は1990年から1996年まで当時の国立予防衛生研究所 筑波医学実験用霊長類センター長を務められ、その後2013年から12年間にわたり本協会の代表理事として、わが国の医科学研究用霊長類の供給・利用の体制整備と発展に強いリーダーシップを発揮し続けてこられました。
本協会は霊長類センター(現 医薬基盤・健康・栄養研究所 霊長類医科学研究センター)の設立(1978年)当時から、カニクイザルの大規模繁殖・育成、健康管理、検疫、微生物検査等の現場業務を全面的に委託され、その後、多くの公的研究機関でのサル類の管理、医科学研究の技術的支援、人獣共通感染症をはじめとするサル類の微生物検査等も担ってきました。私自身は、近隣の筑波大学生命科学動物資源センターで本協会の活躍の歴史を間近で見守るとともに、筑波大学を定年退職の後、本協会の研究員/理事として事業の御手伝いをして参りました。
近年、新型コロナウイルス等の感染症対応、再生医療や移植医療、核酸医薬や遺伝子治療、神経科学等の研究分野でカニクイザルやマーモセット等の実験用サル類の重要性は再認識されており、とりわけ、医学・生命科学分野の基礎研究の成果を医療応用に展開するトランスレーショナルリサーチには不可欠な存在となっております。そのため、高品質のサル類の繁殖・供給、獣医学的管理や検査技術の高度化、専門的人材の養成は、公的研究機関のみならず大学、民間企業を含めた関連分野での大きな課題となっております。
そのような中にあって、一般社団法人である本協会が何を担えるのか? 関連分野のニーズを受け止め、皆様方のお知恵を拝借しながら、広く医科学分野でのサル類の利用、医科学研究の推進のお手伝いを出来ればと考えております。皆様方のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
(一社)予防衛生協会 代表理事
筑波大学 名誉教授、(公社)日本実験動物学会 名誉会員
(NPO)動物実験関係者連絡協議会 理事 八神健一