雑誌掲載

毎年、予防衛生協会が開催している実験動物高度技術者養成講習会について公益社団法人日本実験動物協会発行のラビオに掲載されました。

 

【実験動物技術者認定試験受験者必見! 】
実験動物高度技術養成講習会(サル類)の紹介

一般社団法人 予防衛生協会
研究支援開発部 研究支援1課
松 田 優 一

当協会では、2020年より日本実験動物協会(以下、日動協)のご後援をいただき、実験動物高度技術養成講習会(サル類)を開催しております。 2024年度より、初めて学科認定試験対策講習も開催することになりました。
今回は、当協会が開催しております実験動物高度技術養成講習会(サル類)の内容と魅力、さらに2024年10月26日に開催した実技認定試験向け講習会の内容と様子をご紹介させていただきます。

本講習会では、1級・2級実験動物技術者認定試験の受験と合格を主な目的としており、その後の実験動物技術者として更なるスキルアップを目指していただきたく開催しています。 講習は、日動協発行の「実験動物高度技術者養成テキスト(サル類)」を基に、教育訓練用サルモデル「リアル1号」を使用し、受講者個々のレベルに合わせた内容の濃いものとなっています。
具体的には、動物や実験器具等の安全な取り扱いはもちろん、採血、投与、気管挿管、点滴処置などの実験手技をバイオセーフティと動物福祉の両面から学びます。 当協会職員の日動協認定実験動物技術指導員が、アットホームな雰囲気の中で、手技の理論をわかりやすく解説しながら丁寧に講義を行います。

◎ 講習会の魅力 ◎
【高い合格率】
今まで当協会で開催された講習会受講者の方々から、認定試験の選択科目であるサル類の実技試験に合格したとの高評価の声をいただいております。
【質の高い模擬筆記試験】
経験豊富な講師陣が過去の認定試験やテキストの中から選りすぐりの問題をピックアップしておりますので、質の高い模擬試験となっております。
【納得がいくまで練習ができる】
シミュレーターを使用した実技講習の後に模擬筆記試験を実施いたします。 模擬筆記試験後は、講師と一緒に答え合わせを行い、疑問点や不安点についてその都度講師と一緒に考え、納得がいくまで練習をすることができます。
【講師が日動協認定 実験動物技術指導員】
1級・2級実技試験対策だけでなく、日常の業務に関する質問にも対応いたします。 これからサル類の技術者を目指す方々に対しても、スキルアップを図っていただけるような講習会を心がけて実施しております。
【アフターケア】
講習内容や日々の業務について疑問が生じましたら、ぜひ当協会の講習会事務局へお問い合わせください。 講習会後から認定試験日までの間はもちろんのこと、それ以降でもご質問いただいた内容について、専門スタッフが丁寧に回答いたします。

 

------なぜ本番の試験は筆記試験なのにシミュレーターを使った実習スタイルなのか------

実際に手を動かして実習を行うことで、一連の動作の流れを記憶することができます。 その記憶を元に、動作の前後にある注意点を辿ることができ、誤解答を未然に防ぐ手助けとなります。 実習の内容を文章化することも非常に重要です。 講習会では、実習後にその内容をまとめて文章化する時間も設けています。 実習と文章化を交互に行うことで、記憶により強く残り、理解が深まると考えています。
文章化することにより、自分の理解を再確認し、重要なポイントを整理することができます。 また、他の参加者や講師との共有も容易になり、フィードバックを受けることでさらなる学びが得られます。 このプロセスを繰り返すことで、知識が定着しやすくなり、実際の業務においても自信を持って取り組むことができるようになります。

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【サルモデル人形(リアル1号)について】
当協会自慢の生体を使わずに教育訓練を行えるモデル人形です。 このモデル人形は、実寸大に近いサイズであり、気管挿管や経口・経鼻投与ができるように喉頭蓋、気管、食道を再現しています。 また、犬歯も付いており、嚙まれないように注意が必要です。
さらに、バージョン違いのモデルもご用意しています。 例えば、脳脊髄液採取用に脊椎標本を装着したモデルや、採血用に血管を再現したモデルがあります。 これにより、参加者の個々のレベルに合わせた講習を行うことが可能です。

◎ 講習会の内容と様子 ◎
2024年度の講習会は、7月13日(土)に「学科認定試験向け講習会」を、10月26日(土)に「実技認定試験向け講習会」を実施しました。
実技認定試験向け講習会には、3名の方にご参加いただきました。 受講者の皆様は最初こそ緊張した様子でしたが、徐々に緊張もほぐれ、笑顔が見られるようになりました。 今回の受講者の皆様は非常に意識が高く、時間いっぱいまで繰り返し練習を行いました。 また、日常の業務に対する疑問点についても多くの質問があり、とても充実した講習会になったと思います。

     

(図1)橈側皮静脈からの採血              (図2) 脳脊髄液採取
保定者と声を掛け合いながら安全に。          刺入角度や姿勢に注意。

(図3) 皮下投与
自分の指を刺さないように。

このように、1級・2級認定試験を受験される方にとっては、とても魅力的な内容となっております。

 

実際の実技認定試験向け講習会の内容とタイムスケジュールは次のとおりです。

実技講習会 講習時間と講習内容
9:00- 受付
9:30- 9:35 開催挨拶 / 講師紹介
9:40-12:00 実技講習
①保定・捕獲(固定)手技講習
各種捕獲の方法,モンキーチェアによる固定,ケージ収容時の注意点
②体重測定手技講習
天秤の取扱い(水平確認/0点調整),動物への配慮・注意点
③導入検査手技講習
バイオハザード対策(危害防止対策)
検疫時の各種検査の手技,疾病個体の取扱い,事故発生時の対応方法/手順
④採血手技講習
各採血部位による動物の保定方法,各種採血
目的に応じた注射筒・針の種類,事前準備,手技後の器具/器材の取扱い
⑤投与手技講習
各投与部位による動物の保定方法,各種採血
目的に応じた注射筒・針の種類,事前準備,手技後の器具/器材の取扱い
⑥動物処置手技講習
気管挿管処置操作方法
点滴処置操作方法
12:00-13:00 昼休み
13:00-14:00 模擬試験
14:00-14:45 (模擬試験)答合せ・解説
14:45-15:00 休憩
15:00-16:20 実技講習(復習=各種手技の確認)
16:20-16:40 補習,質問応答

 

◎ 講師からの一言 ◎

予防衛生協会 研究支援開発部の永田と申します。2005年9月の日動協指導員制度発足と同時に指導員となり、早くも20年近くが経過しました。当初、指導員の中では一番若手でしたが、今では白髪も増え、老眼が進み、血圧やコレステロール値を気にする歳になったことを実感しております。
さて、本講習会では、前項にも記載しました通り、参加者の皆さまに認定試験の合格を目指していただくことを目的としています。しかし、それだけではなく、基本的手技やその注意点も実習テキストに記載しております。参加者の皆さまが自社に戻られた後、各施設でその組織の後進者への教育にお役立てていただけるように、皆さまと一緒に考え、一緒に学び、「考える力」と「理解する力」を身につけていただくための講習会となるように心がけております。
興味がある方は、当協会のHP (URL:http://www.primate.or.jp/) へアクセスいただき、講習会の詳細をご参照いただけましたら幸いです。ぜひ皆さまお誘い合わせのうえ、ご参加いただけますよう、当協会職員一同、心よりお待ちしております。