139.オーストラリア政府による外来種コイの排除のためのウイルス放出計画

2016年、外来種のコイの被害に悩むオーストラリア政府は、マレー川とダーリング川へのコイヘルペスウイルスの放出を2018年末までに開始し、30年の間に95%のコイを排除する計画を立案した。このことを、本講座81回(コイヘルペスウイルスの放出による外来種のコイの全滅計画)で紹介したが、2021年9月20日付けガーディアン紙オーストラリア版で、放出開始が遅れていることが報道された。

 

もっとも大きな問題は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO: Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization)の推測で20万トン、場合によっては35万6000トンに達するコイの死体の処置である。国のコイ制御計画では水質に影響しない手段をいろいろと検討している。それに伴うリスク評価はほぼ2年前までに終える予定だったが、科学的調査の追加が必要となり、さらに新型コロナウイルスのパンデミックでスケジュールが延びてしまっている。今年中には結論を出す予定という。

 

これまでに、食用、輸出、肥料、ペットフードといった利用法が挙げられている。

 

文献

Tory Shepherd: Australian government plan to capitalize on carp orgies to cull the pest species with herpes virus. The Guardian, 20 Sept. 2021