(10/9/06)
スクレイピーでは20以上のタイプが見つかっていますが、BSEはこれまで1つのタイプが流行を起こしていると考えられてきました。しかし、2003年に日本で23ヶ月齢のBSE例のウエスタン・ブロットのバンドのパターンが従来のBSEと異なることから、非定型BSEと疑われました。同じ頃イタリアでも非定型BSEが見つかりました。そののち、欧米で非定型BSEが次々に見いだされてきています。
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各国での発生状況 |
非定型BSEは現在までに、日本で2例(23ヶ月齢の8例目と169ヶ月齢の24例目)、イタリアで2例(11歳と15歳)をはじめとして、フランス4例、ベルギー2例、米国2例、オランダ4例、ドイツ3例、スウェーデン1例が論文やシンポジウムで報告されています。ほかにポーランド、デンマークでも見いだされたそうです。
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非定型BSEの感染性 |
イタリアの1例は、ウシ、マウス、サルへの脳内接種で、感染性が証明されています。ウシでは17ヶ月、サルでは26ヶ月と、従来型BSEよりも短い潜伏期で発病している点が注目されています。フランスとドイツの例はマウスへの脳内接種で感染性が証明されています。経口感染は発病までの潜伏期が長いため、まだ結果は得られていません。 |
遺伝性BSE |
人ではプリオン遺伝子の変異による遺伝性のプリオン病があります。これまで、ウシのプリオン遺伝子では、BSEに関連する変異は見つかっていません。しかし、トリノのシンポジウムで米国農務省動物病研究所家畜ウイルス・プリオン病研究ユニットのJurgen Richt(ユルゲン・リヒト、アメリカ人はリックと発音)は、ウシのプリオン遺伝子配列すべてを解析した結果、1例で変異が見いだされたことを報告しました。プリオン遺伝子コドン211番目のアミノ酸置換で、彼は家族性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD )での200番目の変異に相当するものと見なしています。これはイスラエルのリビア系のユダヤ人に多く見られる変異で、40歳で1%の発症率、年齢が増加するにつれて発症率は増加し85歳ではほぼ100%になると言われています。 |
非定型BSEは孤発性BSEか? |
トリノのシンポジウムでPaul Brownは、孤発性CJDの発病年齢を60−65歳、頻度を1000万人に1人と考え、非定型BSEが同じ生物学的特徴をもったものと仮定した場合に想定される状況を整理しました。
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BSE対策にかかわる問題点 |
非定型BSEはウシに感染性があるとみなして、ウシへの対策が必要です。非定型BSEはすべてBSE検査で見いだされたものです。したがって、BSE検査で検出できると考えられます。しかし、日本と欧州の例のほとんどは屠畜場での健康牛を対象としたBSE検査で見いだされたもので、多くの場合、症状は見られていません。OIEの国際基準にもとづくサーベイランスはリスク牛を重点的に行われていますが、その場合には非定型BSEをみのがすおそれがあります。
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