ウルグァイ便り 第10回

換金法について/海軍兵学校


換金法について

こちらに来て3ヵ月以上になりました。 ようやくこの国のいろいろな事情に慣れてきました。 今回は、ここでのお金の引出し方、換金法についてお話しします。

昨年の12月、こちらに来る前に、井上チームリーダーから電話があり、トラベラーズ・チェック(TC)はCiti Bankがよいこと、また、できればその銀行のカードを作ってくるようにとの連絡がありました。 Citi Bankは東京では大手町をはじめ新宿等に多くの支店がありますが、私は大手町支店でTCと円での当座預金、そのカードの手続きをとってきました。

モンテヴィデオには沢山の銀行とcambioという両替所があり、そのどこにも対ドル、対アルゼンチンペソなど主だった国とのレートが掲示されています。 店によってレートが違い、私がよく利用するショッピング・センターにあるカンビオは街の中のそれより率が低いようです。 必要なだけのドルを出して、ア・ペソスといえば直ちにペソに換金され、その時のレートと金額を書いた小さなレシートと共に受取ります。 最近は徐々にペソが下落し、1月22日ドルが8.77ペソだったのが4月9日では9.13ペソになっています。 ですからウ国人はドルの形でお金をもっていて少しずつペソに換えています。

私達がTCから現金のドルにするには、井上リーダーがいっていたようにCiti Bankが手数料無料で最も得です。 ご承知のようにTCには2ヵ所署名する箇所がありますが、下の行には署名せず、また、切り離さないでパスポートまたはその写しと共に窓口の係に見せます。 そしてOKが出たら初めて必要金額になるようTCの下の行に署名して、窓口に出します。 あまり他の国のことは分かりませんが、先に2ヵ所署名して窓口に出してもあるいは切離して出しても換金してくれる所が多いのではないでしょうか。 また、銀行でなくても大きな店ならばTCそのもので買物できることもあります。 ウ国は、この点、極めて厳格です。あるJICA専門家は、他の国と同じと思って先に2ヵ所署名して窓口に出した所頑として受付けず、仕方なく他日Ciudad viejaにある本店に行って現金化したといいます。

ドルをペソに換金するのは主としてカンビオで行ないますが、もう一つの方法があります。 それは先にのべたカードによる現金化です。 Citi Bankの大手町支店では、Red bank systemとかCirrus systemのある国では1年中24時間これらのマークのある所で自動換金可能ではあるが、南米諸国は完備しているとは云い難く保証できないということでした。 そこで、こちらのCiti Bankの支店に行き、このカードで現金化できるかどうか聞いたところ本店ならできるということでした。 本店は、最近一寸治安が悪くなったCiudad vieja(私の住んでいるポシートスからバスで30分位)にあるのでカードの利用は半ばあきらめていました。 その後、車で通勤する際にRed Bankのマークが所々で目についたのでいつか試してみようと思っていました。 先日、カラスコという高級住宅地にあるポルトネス・ショッピングセンターの中の自動換金装置(ATM)のある所に行ってみました。 まず、入口の扉にあるカード認識機(?)にカードを通すと扉が開き第一関門を突破できました。 ここではある人が入っている時は装置のある部屋には入れません。 装置にカードを差入れると画面に数行のスペイン語があらわれましたが咄嗟に、IDENTIFICACIONという字が目に入ってきたので直ちに暗証番号を入力しますと、沢山の大文字の名前らしきものがでてきたので、その中のCIRRUSという字の横のボタンを押しました。 また、沢山のスペイン語が出てきて面食らいましたが、その中でRETIROという単語があったのでその横のボタンを押すと今度は$とかU$とか出てきました。 $ボタンを押すと$500、$1500、・・・・・と金額が出てきたので$1500の横のボタンを押してしばらく待っていましたが、装置はそこでストップ。 仕方がないのでクリアボタンを押してもう一度始めから試してみましたがやはり同じ所でストップしてしまいました。 そのうちに扉の外に二・三人並んでいるのに気づき諦めて外に出ました。 暫らくして空いてきたのでもう一度試そうと中に入ろうとしたところ、掃除をしていた若い女の人がいろいろ聞いてきたので一緒に入ってストップしたところまできた時、その人は$1500所を押さないでどこかのボタンを押して自分でテンキーから$1500を入力してどこかのボタンを押しました。 するとちゃんと現金が出てきました。 どうも最後のところがはっきりしないのですが、一応、このカードで現金化できることから沢山のTCやドルの現金を持って来なくても用が足せることが分かりました。 ただし、どの位のレートで換算し、どの位手数料がかかったのかは日本に帰って通帳に記載してみなければ分かりません。 1〜2秒の間に地球の裏側で預金した金額とIDナンバーをチェックしレート換算して現金になるとは当たり前といえばその通りですが、一昔前は全く考えられなかったことです。 今更ながらコンピューター情報社会にいる有難さを感じました。

中南米というと物騒で未開の所と思っている方が多いと思います。 確かにコロンビアとかペルーなど一部の国では一般市民の生活がおびやかされています。 しかし、ウルグァイのように、危ないと云われる所に行かなければそれ程危険ではなく今回のように日本と同じくカードが使えます。 パラグァイ、アルゼンチンでも使えるそうです。


(追記)

上記カードによる換金について、井上リーダーがインターネットで詳細にしらべてくれました。 それによると、そのカードはワールドキャッシュカード(WWC)といい、海外のCiti Bankおよびその提携しているCIRRUSほか、世界の約12万台のATMから直接現地通貨やドルに換金できます。 カード発行手数料は1,030円、海外引出しは1回につき200円です。 国際電話機能もついています。 ただし、カード1枚につき100万円を上限としますが繰返し入金できます。



海軍兵学校

毎日通勤する時に通るランブラという海沿いの道路に面してウ国の海軍兵学校があります。 本館が2階建、若干の附属の建物と4階建の寄宿舎の小さな学校です。 私は、1945(昭和20)年に海軍兵学校(海兵)予科の第78期生でしたが僅か4ヵ月半で終戦のために退学になりました。 入学当初は長崎県の針尾島という所にあり、当時としては比較的自由な雰囲気で休日は野球などに興じていました。 空襲が激しくなって山口県の防府市郊外に移転し終戦を迎えました。 針尾島は今はハウステンボスになって多くの観光客で賑わっています。

そんなわけで通勤時にいつもみかけるウ国の海兵は何となく気になる存在で、毎日注意して観察していました。 ところが3月中は正門に衛兵も立っていないで人気が全くなく生徒らしい姿は見えませんでした。 一般の学校と同様にセマナ・サンタを中心に長い間休校だったのです。 針尾島での海兵生活が比較的呑気であったとしても、当時の海軍は「月月火水木金金」の生活でしたから一ヶ月近くも軍の学校が休校とは一寸考えられません。 セマナ・サンタを過ぎるとやっと学校の付近をジョギングしている生徒を見かけ衛兵も常時立つようになりました。 海(ラ・プラタ河)は遠浅ですから船は入れないのでしょうか、軍艦はおろか小さい船も学校の近くで見たことがありません。 のんびりした海兵です。

ところで、私がウ国についた翌日(1月24日)に帰国専門家の送別会がイタリアレストランでありました。 その最中に、私と同年輩でウ国北部のサルトという所でJICAの「果樹保護技術改善計画」のリーダーをしている田中寛康氏と話をしていたところ、ひょんなことから彼が同期の海兵78期生で、私が農水省の家衛試に勤めていた頃彼を含めた同期生数人と土浦の京成ホテルで会食したことがあると分かりました。 14〜5年前のことですが、よく見ると一度あった記憶があり地球の裏側で再開するとは本当にびっくりしました。

彼は旧神戸二中(現長田高校)出身で終戦後そこに復学し、旧三高を経て京大農学部を卒業し助手を務めた後に農水省に入省して果樹試の部長で定年退官したそうです。 その後直ちに前述のJICAプロジェクトのリーダーとして計5年半ウルグァイで活躍しました。 彼はこの5月31日に任期を満了し帰国する予定ですので近日中にサルトに尋ねて行くつもりです。


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