ウルグァイの人は他の中南米諸国の人と同じようにフットボールが大好きです。 小さなよちよち歩きの男の子に親がボールを与えて、芝生の上で遊ばせているのをよく見かけますし、小学校に上る頃になると小さな路地裏でボールを4〜5人あるいは1人でも蹴っているのもよく見ます。 私は小さい時から野球をやっていてフットボールにはあまり興味をもっていませんでした。 こちらに来て、夜はあまり外出しませんからよくテレビを見ます。 当然、ニュースもドラマも皆スペイン語でよく分かりませんのでこうではないかと絶えず考えながらみていますから一時間も見ていると疲れてしまいます。 ところが、フットボールは毎晩放映している上に言葉の必要性が殆んどないのでしばし ば見ているうちに次第にこのスポーツが面白くなってきました。 野球と違って全ての選手がボールを中心に何らかの動きをしていて一刻も目を離せませ ん。 野球は投手と捕手ばかり忙がしく、それも間合が長いので退屈することがあります。 今迄よく分らなかったオフ・サイドも何回か見ているうちに分かるようになりました。
そこでウ国のフットボール事情を知りたくなり、JICAに来ているM嬢やホテルの受付のアドリアナさんからいろいろ聞きました。 それによると、ウ国にはプロのフットボールチームが沢山あります。 日本と違って会社などがオーナーになっているのではなくクラブ制で殆んどがモンテヴィデオ市に本拠地を置いています。 そのうち、プリメーラ(primera)と呼ばれる日本での一部リーグにあたるリーグには12チームが所属していてウルグァイカップを争います。 ペニャロール(Penarol)、ナショナル(Nacional)、デフェンソル(Defensor)などでラムプラ(Rampla)というチームは大抵最下位だそうです。 一部リーグの下には二部リーグがあって沢山のチームが所属し、そのトップと一部リーグの最下位と毎年入れ換え戦をします。 1年2期制で、2月〜6月に行なわれる第I期と7月〜12月の第II期の各優勝チームの間でウルグァイカップを争います。 今迄、最も多くNo.1になったのはペニャロールでファンも一番多いようです。 次に強いのがナショナルです。 ずっと2位に甘んじていますが結構ファンも多く、しかも熱烈です。丁度、両者は日本の巨人と阪神みたいな関係にあります。 もっともここ10年間阪神は低迷していて残念なことですが。 ウ国の人、特に男性は殆んどフットボールに通じていてそれぞれひいきのチームがあり、それが勝つと大げさに喜びます。 研究所ではDr.Bはリベル・プラーテ(River Plate)、Dr.Caはペニャロール、ホテルでは意外にナショナルのファンが多く4人の男性とアドリアナがそうで、男性2人と経営者のA. M.夫人がペニャロールファンです。 同じホテルにいる井上リーダーは私より数段スペイン語が達者ですから、ひいきチームが負けた翌日など受付の彼らをからかっていますが本当にしょげかえってまるで子供のようです。
5月8日(木)の新聞にペニャロール×ナショナル戦の前売券の価格がでていましたので紹介しましょう。 この一戦は巨人×阪神戦と同様にこの国で最も人気のある試合です。
席 | 成人男性 | 女性、18才未満、年金生活者 ペニャロールファンクラブ会員 |
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席は表の下の方ほどよい席でAmericaのみは指定席です。 チケットはトレス・クルーセスという所にある代理店70と代理店40で求めることができます。 当日券はペニャロール本部入口で売られます。 この国は教育費が大学迄無料であることなど社会保障制度が整っていますが、この辺の事情もこのチケットの価格からも伺われます。 この新聞はペニャロールのことばかり書いてあるのでひょっとしたらこのチームのスポンサーであるかもしれません。
ウ国カップリーグ上位2チームが南米カップリーグ(Capa libertadores de America)に参加します。 このリーグは南米各国の1,2位チームからなっていて、各グループにわかれそれぞれの勝者間で戦います。 その優勝チームとヨーロッパの優勝チームとでトヨタ・カップを争い、そこでの勝者が名実共に世界一になります。 ウ国は茨城県程度の人口しかありませんが第1回のワールドカップ(1932年)でNo.1となった他、もう一度優勝した歴史があり今でもトップレベルにあります。 Jリーグでも2〜3人の選手が活躍しています。 最近ペニャロールがコロンビアのチームに 2-0 で勝ち1人当たり5,000ドルのボーナスを得ました。 ナショナルはチリのコロコロというチームに 1-3 で負けました。
私は心情的にはナショナルを応援していますが、皮肉なことにライバルのペニャロールのチームカラーが黄と黒の縦縞なのです。 仕方がないのでペニャロールの旗を買って帰国し、その旗を振って低迷しつづけているタイガースを応援しようと思っています。