私どもの住んでいるアパートホテルから研究所までは車で40分位かかります。 私は井上リーダーの車に便乗させてもらって毎日通勤しています。 前に書きましたように道順はランブラという海岸沿いの道を経て空港の横の道を通ります。 その道に沿って、1ヵ月程前から直径70〜80p、長さ7〜8mの大きな黒い鉄管が数qにわたって道端においてあります。 上水道用で立派な鉄管はフランスから大量に輸入したものだそうです。 その水道管に大きく白いペンキで「SERGIO GUAMPAS DE ORO」と書いてあるのがところどころにあり、中にはその字の下に大きな角(つの)をもった牛の顔が書いてあるのもあります。 SERGIOは人の名前、GUAMPAは中南米独特の単語でつの、OROは金のことで、単語は分りますがその意味するところは全く分りません。 井上氏も前々から気になっていたらしく邦人2世のM嬢に聞いたそうで、それによるとこの表現にはいろいろな意味があり一口ではいえないが、ラテンアメリカ独特のユーモアでセルヒオのことをからかっているとのことです。 別の水道管にSERGIOの後に二・三の単語が書いてあるのもありますが、M嬢らよるとどうやら「セルヒオは女房に逃げられて怒っている」という意味でoro(金)のつのだから「とても怒っているぞ」ということらしいのです。 セルヒオ氏が誰で、また誰がこんな大きな字で落書きしたのか知りませんが、井上氏は、セルヒオは恐らく水道局の局長のような幹部で書いたのは水道管の埋め立て工事をしている数人の労働者(市か国の職員)ではないかといっています。 いささかうがち過ぎで、別にセルヒオ君が同じ労働者の仲間でもよいと思うのですが、ラテンアメリカ特有のユーモア性を考えると私も井上氏に賛成です。 そのうち、ストライキでもあってデモ行進の時に同じことを書いたプラカードがテレビのニュースで見られるかもしれません。 中南米の人は「アスタ・マニアーナ」で時間を守らないズボラな人達だとよく云われますがこの国の人は着実に仕事をします。 現にこれらの水道管は毎日通勤するごとに次第に土中に埋められ「SERGIO・・・・・」の水道管も残り少なくなっていまいました。
同じ人間ですからウ国にももちろんいろいろな人がいます。 細菌研究部のL部長は物すごく真面目で冗談一つ言いません。 会議中はいつも貧乏ゆすりをしています。 私の前からの持論ですが、眼をしばしばさせたり、貧乏ゆすりをする人に悪い性格の人はいません。 会議でしょっ中駄洒落をとばすのはなんと言ってもB所長で、これに間髪を入れず合いの手を打つのがCa部長です。 言葉は分らなくてもそのやりとりを聞くのは面白いものです。 女性のD部長はしばしば大演説(といっても内容は大したことはないらしいのですが)をぶちますが、その途中に一寸冗談をいうだけで会議の進行がスムースになります。 私の若い方のC/Pも咄嗟に適切なジョークがでて面白い人物です。
職場での上下関係は表面上はゆるやかな感じをうけます。 所長と平の研究員が全く対等に話をしているような風景を何度もみました。 日本では酔っぱらった時でもないとフランクに話せないのではないでしょうか。 しかし、所長は人事と予算権を持っていますから本当の所は私も分りません。
つぎにウルグアイの女性について一寸お話しします。 ウ国の女性は35才位までは美人が多く、体型もいわゆる八頭身でスマートです。 とくに小さい子供さんは男女を問わず可愛くてお人形みたいです。 どういうわけかウ国の女性はお化粧を殆どしません。先日、お隣のアルゼンチン、ブエノスアイレスに行きましたところ、ここの女性はお化粧がすごく上手でそのせいか街を闊歩する女性が皆きれいに見えました。 中でも濃紺に赤いふちどり、金色のボタンの制服を着た女性の軍人はお化粧が映えて皆美人にみえました。 ウルグァイの女性もお化粧をすればもっと美しくみえるのではないでしょうか。 事実、ショッピングセンターやセントロの大きな店に行きますと店員の女性は皆きれいですから多分お化粧をしているかもしれません。 もう一つ、女性に限ったことではないのですが、こちらの人はよく肌を焼きます。 夏になると海浜だけでなく一寸した空地、ベランダなどで日光浴をしています。 こちらの日差しはすごく強く、それでなくてもシミの多い白人には紫外線は大敵だと思うのですが。 そのせいか肌の色が褐色で白人という感じはしません。 私どもの研究所にもたくさんの女性がいます。 研究員に限っていえば男性より遙かに多くいます。 どういうわけか、最も若い人で35〜6才で、大半は40台後半から50歳台です。 男性の年齢構成も同様で研究所の平均年齢は極めて高いはずです。 一般にウ国の人は40才を過ぎると肥った方が多い傾向がありますが、研究所の女性に限っていえば殆んどスマートです。 美人が多いかどうかはあまりにも身近なのでのべるのを差し控えますが、皆さん、もっとお化粧した方がよいのではないかと思っています。 残念ながらC/Pには女性は一人もいません。