ウルグァイ便り 第17回

ウルグアイの自動車事情


MERCOSUR自動車会社連盟のウルグアイ支部、自動車輸入会議所および自動車産業会議所の発表によれば1996年の国内における乗用車(新車)の販売台数は合計27,053台で、第1位はFiatの5,219台(19.3%)、第2位Volkswagenの3,928台(14.5%)、第3位Chevroletの2,357台(8.7%)、第4位Hyundaiの1,732台(6.4%)……と続きます。 日本車はNissanが1,322台(4.9%)で第6位、これに続いてMitsubishiが1,313台、Toyotaが1,301台となっています。 韓国車がかなり進出していてHyundai、DaewooおよびKiaの3機種をあわせると総販売数の12.5%を占めます。 日本車は上記3社製の他にSuzuki、Mazda、Daihatsu、Honda、SubaruおよびIsuzuが売れており、合計すると総販売数の19.6%となっています。 1997年における4ヵ月分の合計では売上げ台数が9,326台で、順位は5位迄は半年前と変りありません。 Fiat、Volkswagen、Chevrolet社の車が圧倒的に多いようです。 日本車はMitsubishi(4.8%)、Toyota(4.4%)、Nissan(3.8%)でNissanの伸びが一寸少ない程度で前年度とほぼ同じ割合です。 トラックは、1996年度1,720台の販売台数でMercedes-Benz(19.4%)、Volkswagen(14.5%)、Hyundai(12.0%)で、今年度4ヵ月では2位と3位が入れかわりHyundaiが19.2%で2位となり、ここでも韓国車が進出しています。 日本車ではDaihatsuが昨年度6.0%、今年度4ヵ月分9.7%と頑張っています。 バスは昨年度は31台が売れてその中17台がMercedes-Benzです。 日本に比べると非常に少ない販売台数ですが人口が茨城県と同じ位の340万人であること、税金が100%かかることを考慮すれば相当売れているのではないでしょうか。

街を走っている車はもちろん新車ばかりではありません。 バンパーもなく、ボディーが腐りかけて孔があいているポンコツ車もかなりみかけます。 その中でピカピカに磨き上げたクラシックカーが悠然と走っていることもあります。 いろいろな型がありますがもっとも多くみかけるのは1920年代のFord T型で、大てい道端に止まっていてそばで手入れをしたり眺めすかしている人がいます。 井上リーダーもクラシックカーにかなり詳しいらしく話しかけたりするとその人はペラペラと際限なく話を続けます。 車の自慢話をしているのが身振り手振りで分かります。 この国はかつて日本より遙かに裕福な時期があり、その時にヨーロッパ、アメリカから車をはじめ絵画、家具、各種時計等をお金持ちが購入したものと思われます。 事実、毎日曜日開かれるセントロのTristan NarvajaのFeria(市)や骨董品店には車こそありませんが、古き良き時代のヨーロッパの家具、装飾品が沢山でています。 古い時計に詳しい我々のチームのK専門家は毎週ここに通っていますが、同氏によるとここのFeriaは骨董品の宝庫だということです。

つぎにウ国のタクシー事情についてのべてみます。 ウ国のタクシーは黒いボディ−に黄色い屋根でボディーなどにTaxiと書いてあってすぐ分かります。 カローラ、サニークラスより多少小型です。 3月18日付のEL PAIS紙によればモンテヴィデオには1931年450台であったタクシーが1995年には3,072台となりました。 機種は1930年代のFordとChevrolet、1950年代のNashを経て25年間以上Mercedesが多かったのですが、今はいろいろな機種が走っておりとりわけToyota、Passat (Volkswagen社)とFiatが多いということです。 日本と違っている点は、まず、運転席と客席との間にガラスあるいはプラスチックからなる透明なしきりがあることです。 その下方に小さな孔があってそこからお金を払ったりおつりを貰ったりします。 この方式は北京のタクシーでもみられました。 最近タクシー強盗が頻発したために2年前からこの方式になりました。 このしきりのために運転手とお客との間のコミュニケーションがぐっと少なくなったと新聞に書いてあります。 タクシーにのると、まず、運転手はメーターを倒します(Bajada de Banderaといいます)が、これはいわゆる基本料金である距離迄は$9.04(126円)です。 それ以上はTarifasという料金表に従って料金を払います。 ただし、ペソが直接表示されるのではなく、メーターに出てくる数字はFichasといわれる数字でそれに対応するペソが料金表に書いてあります。 料金表は平日昼間用と夜間(22時〜6時)・休日用の2種類あり後者は前者の20%増しです。 平日用では5 Fichasが$11.60、10 Fichasが$14.20、………、30 Fichasが$24.70で1 Fechaにつき$0.519加算されています。 1ヵ月程前、日本人とみると昼間なのに夜間用の料金表でタクシー代を請求するケースが増えているので注意するよう日本大使館からいわれました。 下りる際にチップは必ずしも必要ではありませんが釣り銭位は渡した方がよいでしょう。 モンテヴィデオ市内ではタクシーは「流し」ですぐ見つかりますが、見つからない時は街の所々にタクシー専用の停車場があります。 電話ボックスみたいなものにTaxisと書いてあり、大ていタクシーが数台たむろしています。 また、ホテルやレストラン等から電話で呼び寄せることもできます。 空港から市内に行くときあるいはその逆の時は荷物が多いのでハイヤー方式のRemisesに乗る方が便利です。 空港ではその看板のある所に行って申込みますと数分内に乗ることができます。 代金はタクシーより少し高く前払いです。 機種はタクシーより大型でBenzがよく用いられています。 アルゼンチンのブエノスアイレスのタクシーはモンテヴィデオと同じ配色です。 運転席と客席との間の仕切りはなく、メーターも直接ペソ(1アルゼンチンペソ=1ドル)で表示されます。 そこから車で約1時間半離れたラ・プラタ市にも行きましたが、そこではタクシーはボディーは黒、屋根が白で日本のパトカーのようでした。

最後にバスの乗り方について一寸書きます。 モンテヴィデオでは昔は市内電車がありましたが今はなく、一般庶民の足は市内を縦横に走っているバスです。 時間間隔は長くなりますが夜中も運行されています。 バスの前、上方に行先と番号が書いてありますが、そのルートは複雑で我々はうまく利用できません。 前から乗って、ワンマンの時は運転手からそうでない時は車掌から6ペソ(84円)払って券を買います。 市内一律料金です。 停留所には名前も番号もありませんし、当然車内放送などありませんから目的地近くなったら目を皿のようにして見覚えのある所に来たら出口の前に立ちますとバスが止まって戸が開きます。 市内は殆んど一方通行ですからバスに乗る停留所と降りる停留所はかなり離れています。 最近、バスの中ですり、ひったくりの類が多くなったとのことですから、セントロなどに行くときは値段は数倍高いもののタクシーを利用した方がよいと思います。


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