(12/6/06)
本講座173回で科学11月号のBSE特集をご紹介しました。今回、岩波書店科学編集部の了解が得られましたので、その中のプルシナーとの対談の記事全文を転載します。
「全頭検査こそ合理的──手放さずそれを世界に広げるべきだ」 スタンレイ・B. プルシナー(カリフォルニア大学サンフランシスコ校教授) 科学11月号 p. 1102-1104, 2006より転載
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全頭検査こそ合理的 |
筆者(プルシナー、以下筆者P)は,ここ何年にもわたって主張し続けていますが,米国*1でも世界のどの国でも,BSE対策として唯一「合理的」な方策は,と畜される「すべての」牛について,BSE検査することだと考えています.
(脚注)*1 米国では牛のBSE全頭検査は行われていない.
ところでその方策は輸入牛肉については適用されていません.オーストラリアやニュージーランドといった,いわゆるBSEの「清浄国」からは輸入を続けているわけです.
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プリオン病の基本に立ち返って考える |
ここでプリオン病の基本をおさらいしておきます. (脚注)
そしてよく知られているように,異常型プリオン蛋白質は「極度に」不活性化されにくい.つまり,病気が広がりやすいという性質があります.
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検査と月齢 |
可能なかぎりの検査手段を用いて,異常型プリオン蛋白質の蓄積部位、すなわち特定危険部位(SRM)の除去が行われてはいます.しかしながらわれわれは,感染性のプリオン蛋白質が存在しているSRMを「すべて」把握できてはいないのです(本特集の横山氏の解説参照).このことも,慎重に考えなければならない要素です.
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消費者の願いから未来へ |
これは根拠があるわけではなく筆者Pの印象ですが,米国の消費者の10人中9人は,BSE検査がなされていると思っている節があります.政府がしっかり守ってくれていると思っているのではないかと感じられます.
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