米国農務省動物植物検疫局では、英国でBSEの問題が起きてから米国におけるBSEの危険性について多角的な危険性評価を行い量的分析、質的分析結果を1991年にそれぞれまとめ、また総合的なまとめを1993年と1996年に発表しています。 これらは以下のとおりです。 Quantitative risk assessment of BSE in the United State Qualitative analysis of BSE risk factors in the United States Bovine spongiform encephalopathy:implications for the United States,December 1993 これらの資料は私の手許にありますが、そのうち、1996年2月に出された報告書 Bovine Spongiform Encephalopathy: Implications for the United States. A Follow-Upが非常によくまとまっています。 これは
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1.英国でのBSEの現状。 1996年1月 |
以上の回答は英国農業省担当官、肉および家畜委員会スタッフ、米国農務省動物植物検疫局W. Huestonとの私信、および以下の文献にもとづく。 |
(2) 米国でのBSE危険因子の現状 |
主として羊の飼育の現状、レンダリングの現状、離乳食用の代替蛋白などについての解析結果が述べられています。 まとめとして、1989年と比較して、米国でのスクレイピーによるBSEの危険性は減少してきていると述べられています。 |
(3) 米国でのBSE調査結果の評価 |
1. 輸入牛 |
1981年1月1日から1989年7月(この時点で輸入禁止)までに英国から輸入した牛499頭についての追跡調査の結果、1995年10月30日現在、117頭が生きていた。 339頭は死んでいた。 8頭は輸出されていた。 35頭が不明で追跡調査中。 この追跡は記録がないので困難。 しかし8才以上になっているのでBSE発症の可能性は少ない。 117頭中52頭はBSE発生のあった牧場由来。 |
2. BSE発生の可能性の推定 |
米国で中枢神経障害を疑わせた神経症状の成牛2,411頭について、60箇所以上の獣医診断施設等で検査した結果、BSEの証拠は得られなかった。 毎年25,000ないし130,000の成熟乳牛と雄牛が中枢神経障害を示すと推定されていることから、この数字をもとに年間BSE発生の可能性を推定した。 その結果、1年間の最大流行可能性は、10万頭あたり1.2から100万頭あたり2.3と推定された。 |
3. 研究 |
米国でのBSE調査の大部分は臨床症状と神経病変が英国のものと同様という前提で行われている。 1990年の終わりに米国由来のスクレイピー感染材料を子牛の脳内に接種した実験では、すべてが発症して死亡した。 しかし、臨床症状は異なり(嗜眠性、ついで歩行できなくなる)、また病理組織検査では英国の場合と異なり、わずかな変化のみであった。 スクレイピー感染材料を食べさせられた子牛では病気は起きていない。 結論は出せないが、米国での調査方法には追加手段が必要と思われる。 そのひとつとして、プリオン蛋白にもとずいた試験が行われている。 |
4. 獣医大学での診断 |
パーデユー大学のVeterinary Medical Data Base (VMDB)が利用できる。 これには27の獣医大学からの診断成績が集められている。 |
5. その他 |
教育、対策班、臨床獣医のネットワーク、屠殺前の検査、獣医診断報告システム、動物園などの項がありますが、省略します。 |